インタビュー02

建築業の父の影響で、
「何かをつくる仕事」を志して。

工業高校を卒業して旭川の高等技術専門学院の造形デザイン科に入学したのは、高校で建築を学ぶうち家具や建具のことが知りたくなったからです。学院在学中に初めて出場した技能五輪でたまたま予選を通過して(笑)、全国大会に進み銅賞を受賞しました。旭川は五輪の常連で、その年も5、6人の選手と一緒に出場。全国の選手とも友だちになれてとてもいい経験でした。

つくる仕事に特別向いているかというと、そうでもありません。子どもの頃学校で裁縫の課題を出されたとき、横で見ていた親に「うまいね」と褒められたくらいで、工作が得意だったとかはぜんぜんないですね。体を動かしているのが好きなので、今のように1日中立ち仕事でも苦になりません。デスクワークだとすぐ眠くなるので、そっちは向いていないと思います(笑)。

入社して技術開発に配属。
大変だったことは……全部です。

就職先にカンディハウスを選んだのは、いろいろな種類の製品をつくっているメーカーだし、木取りから塗装まで全工程を知ることができると考えたからです。ただ採用になって配属された「技術開発」は、新作開発のための試作などがメインの部署で、その都度まったく別なものをつくります。樹種などの用語を知っていたからまだよかったけど、機械もやり方も学校とはレベルが違い、全部の仕事が大変でした。上司の作業を部分的に手伝いながら教わったり、複数台製作するときは上司のつくったものを見本にして加工することで技術を身に付けていきました。

その後椅子をつくる工場の加工と組み立てをする部署に移り、今は「ルントオム」や「キーラ」など数が多く出る椅子の組み立てを担当して2年目です。1年目にやっていたパーツとパーツを組む作業よりも、今やっている完成に近い工程の方が複雑で精度も要求されるので難しい。3、4カ所を一度に接合したり、特に木と異素材を組み合わせるときは塗装してから組むので、傷付けないよう神経も使います。加工の複雑なデザインの家具がふえているのかも知れませんが、そのぶん工場としての技術は確実に上がっていると感じます。失敗は……あります。接着するとき機械で締めすぎて本体が割れたり、椅子1脚ダメにしたこともあるので、同じミスは絶対にしないよう気を付けています。

入社後に2回目の技能五輪に出場。
家具製作一級技能士も取得しました。

日々の仕事をする中で、もっと上に行きたい気持ちが湧いてきて、もう一度技能五輪に挑戦しました。全国大会で前回と同じ銅賞を受賞。2回目の有利さはありましたが、企業の代表という立場で出場したのでプレッシャーが大きくすごく緊張しました。五輪は決まったルールの中でいかに早くきれいにできるかを競うので、この経験は社内で取り組んでいる「改善活動」にも生かすことができている気がします。日々の業務の中で、「どうやったらより効率を高められるか」ということを考えながら取り組むようになりました。また、家具製作技能士の家具手加工一級の資格も入社後に取得。資格を目指す社員には、練習時間を考慮してくれたり、先輩からのアドバイスをもらえるなど会社の協力がありました。合格すれば報奨金も出ますし(笑)、社内の立派な木製掲示版に自分のネームプレートが貼られるのも励みになっています。

係長になって、
自分の作業に加えて部署の管理業務も。

2022年4月から係長になりました。取締役に呼ばれて言われたときは驚きました。まだ入社して4年そこそこで、特にこの部署はたった1年でまだ先輩に教わってる身です。できるかどうか自信がなく「考えさせてほしい」と答えました。その後「やってみます」と返事をすることになるんですが、気持ちが決まったのは、管理職がどういうものか興味を持ったからです。

引き受けてみると、自分の仕事を持ちながら技術者8人の動きを見てスケジュールや進み具合を管理するので忙しいんです。1日のうち作業が6割、ミーティングなどで4割くらいになりました。どの順番で誰に何をしてもらうか予定を立てるのですが、それぞれ得手不得手があるし、受け持っている仕事の量もさまざま。滞る工程があれば人を回したり、自分が入って調整しています。半年経ってだんだんまわりを見られるようになってきましたが、まだまだです。自分のことだけやってたときよりは、成長してる…のかな(笑)。

休日は仲のいい先輩と釣りに行ったり、1歳になった息子と過ごしています。偉くなろうとか独立したいとか、あまり考えていません。今興味があるのは塗装。まったくわからないから、やってみたいんです。

インタビューTOP